純喫茶って何?~喫茶店・カフェの違い~

純喫茶とは?

最近、喫茶店をInstagramなどのSNSでよく見かけるようになった気がします。
特に昭和からある喫茶店は、現代には無い独特な雰囲気が味わえるとのことで、SNS界隈では密かな人気があるそうです。

さらには浅草や川越などの小江戸も人気ですよね。
今では味わえない昔ながらの雰囲気、いわゆる「昭和レトロ」が楽しめるのでタイムスリップした気持ちになりますよね。

そんな「昭和レトロ」で人気の喫茶店ですが、喫茶店の呼び方で「純喫茶」という言葉を耳にしたことはありませんか?

この純喫茶とは、「純粋にコーヒーを楽しむためのお店」を意味します。

でも、「コーヒーを楽しむお店」と言えばカフェでもコーヒーは楽しむことができますよね。
「純粋に」とは、普通の喫茶店やカフェとどういった違いがあるのでしょうか?

それには、まず「喫茶店」と「カフェ」の違いを知っていただく必要があります。

そもそも喫茶の「喫」「茶を喫(の)む」という意味です。
※お茶を飲む動作を表している。

喫茶店とカフェの違い

イメージ

店舗飲食

喫茶店
・昭和レトロ
・アンティーク
・素朴で木の温かみがある
・コーヒー
・クリームソーダ
・プリンアラモード
・オムレツ
・ナポリタン
・ホットケーキ
カフェ・おしゃれ
・現代的
・コンクリートの打ちっぱなしの壁
・白を基調とした店内

・コーヒー
・紅茶
・スコーン
・ドーナツ
・サンドウィッチ

昭和レトロという言葉もちらほらと聞くと思いますが…
昭和を経験していない若者が「昭和の雰囲気のあるスポットやファッション」などに当時の雰囲気を感じさせるときに使うそうです。
やはり喫茶店も昭和レトロが特徴的で若者にも人気です!

喫茶店は、「昔ながらの雰囲気」があり落ち着くイメージ…
カフェは、「おしゃれで最先端」のイメージ…

ざっくりですが、まるで昭和と現代のような対極のイメージがパッと思いつくかと思います。

では、それぞれの言葉の実際の意味は何でしょうか?

次の項目で定義について解説していきます。

定義

喫茶店コーヒーや紅茶などの飲み物・菓子や軽食を客に提供する飲食店
カフェイタリア語、フランス語でコーヒーそのものを意味する
コーヒー店や喫茶店のこと

そうなんです、実は定義上では「喫茶店」と「カフェ」はほぼ同じ扱いなんです!

特に、カフェの意味「コーヒー店や喫茶店のこと」に着目すると
カフェ喫茶店と捉えることができますね。

しかし、喫茶店とカフェは同じコーヒー店なのにどのように区別をするのでしょうか?

大まかにどういった違いがあるのか、「食事内容」を基に次の項目で整理して見てみましょう。

大まかな区別

食事内容を基に区別すると以下の表のようになります。

喫茶店コーヒー・調理された食事お酒・調理された食事
カフェコーヒー・調理された食事お酒・調理された食事

※お店のメニューの種類にもよるので一概には当てはまるわけではないが、大まかに分けるとする。

この表での喫茶店とカフェは全く同じですね。

喫茶店とカフェ、どちらも食事の内容は一緒だから違いが分からない!…となるかと思います。
しかし、喫茶店とカフェをはっきりと区別できる違いがあるのです。
次の項目でその違いについて解説していきます。

はっきり区別できる違いは〇〇にある

はっきり区別できる違いは法律にあります。

法律での違いは何かというと、「営業許可の違い」です。

営業許可は、行政庁の許可を受けた者でなければその営業を行ってはならないという仕組みが法令で定められています。

飲食店の場合、食品衛生法に基づき、保健所からの営業許可が必要となります。
営業許可を得ず、無許可で営業することは違法にあたります。

次の項目で営業許可の違いについて見ていきましょう。

営業許可の違い

「喫茶店営業許可」「飲食店営業許可」があります。

喫茶店とカフェの食事内容が同じであれば、適当にどちらかの営業許可を取得して営業をして良いのでしょうか?
この点も食品衛生法施行令で定められています。

どちらの営業許可を取得するかは、「喫茶店と飲食店の違い」を示している食品衛生法施行令の第三十五条によると以下のようになります。

喫茶店喫茶店、サロンその他設備を設けて酒類以外の飲物
又は茶菓を客に飲食させる営業
飲食店一般食堂、料理店、すし屋、そば屋、旅館、仕出し屋、弁当屋
レストラン、カフェー、バー、キャバレー
その他食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業

この表でポイントとなるのは、酒類・調理を含む場合は飲食店という点です。
つまり、飲食店営業許可が必要となるということです。

喫茶店営業許可はアルコールの提供や、簡単な加熱以外の調理全般ができません。
簡単な加熱調理とは、すでに作られているものを温めることやトースト程度のことです。

喫茶店営業許可の場合は提供できるものがかなり限られているということになります。

喫茶店とカフェはどちらの営業許可に当てはまるかというと、表を基に簡単に言えば以下のようになります。

カフェは「飲食店営業許可」
喫茶店は「喫茶店営業許可」

カフェは飲食店に含まれますので、飲食店営業許可が必要となります。
喫茶店は喫茶店営業許可が必要ということですが、アルコールや簡単な加熱調理以外の食事を提供を絶対してはいけないのでしょうか?

そういうわけではありません。
アルコールや簡単な加熱調理以外の食事を提供をしたい場合は飲食店営業許可を取得すれば良いのです。

実は、法律上では営業許可の違いはありますが「喫茶店とするかカフェとするか」は
名乗り方はお店の自由なのです!

つまり、

アルコールやナポリタンを提供できる喫茶店もあるし
トーストやサンドイッチしか提供できないカフェもあるということです。

私たちが「喫茶店」と言われて思い浮かべるような「サンドイッチ・オムライス・ナポリタン」等を提供している喫茶店は飲食店営業許可を得ているということになりそうですね。

つまりそのお店のコンセプト(店主の希望)によって「カフェとするか喫茶店とするか」は変わってくるということになります。

次の項目で例を挙げてみてみましょう。

実際のお店はどうなっているのか

  • スターバックス・ドトール
    こちらの2店舗の外見はカフェにしか見えないですよね。
    しかし、フードは軽食がメインです。
    スターバックスはスコーン・ドーナツ類がショーケースに陳列されていますね。
    どちらもパスタやオムライスなどしっかりとした食事はないので喫茶店営業許可の可能性が高いです。
  • タリーズコーヒー
    タリーズコーヒーはパスタやビーフストロガノフがあるので飲食店営業許可に当てはまります。
    ランチがてらにタリーズコーヒーに行くという会社員の方もよく街中で見かけます。
  • コメダ珈琲
    コメダ珈琲はフルサービス型喫茶店とされています。
    しかし、パスタもあり、揚げ物もあるのでカフェに近いという印象があります。
    飲食店営業許可の可能性が高いです。

食事を提供している喫茶店は、喫茶店と店名に入っていても飲食店営業許可を取得しています。

その点を踏まえると、どちらを主張するかはお店次第なので「喫茶店か、カフェか」どちらなのか知らないお店が多いのかもしれないですね。

最近だと、カフェであれば「紅茶専門店・チャイ専門店・抹茶専門店・苺スイーツ専門店」のように、コーヒー以外を売りにしているお店も増えています。

これらのお店はカフェの印象がありますが、がっつりとした食事がなく、酒類を提供していない店舗もあります。
その場合は、喫茶店営業許可の営業形態の可能性もあるということになりそうですね。

※豆知識
1888年開業の上野にあった「可否茶館」(かひさかん) は日本で初めてのカフェと言われているらしいです。
開店した4月13日は喫茶の日とされています。
喫茶店が有名なところと言えば上野です。
上野には喫茶店が多く、喫茶店好きの人や喫茶店巡りをする人がよく訪れます。
喫茶店の店舗数は、上野駅周辺だけでも10件ほど!!

純喫茶の定義とは?

冒頭で「純粋に」とは、普通の喫茶店やカフェとどういった違いがあるのでしょうか?
という問題に対してまずは「喫茶店とカフェ」の違いを整理していきました。

喫茶店もカフェも同じような食事内容でしたが、営業業態によって取得する「営業許可」の種類が違いましたね。

アルコールや簡単な加熱以外の調理をした食事を提供する場合、「飲食店営業許可」が必要ですが、店主の希望によって喫茶店として営むことができます。
喫茶店営業許可を取得する場合は、「コーヒー・菓子・果物等の軽食」程度の食事内容になります。
その場合、純喫茶の定義「酒類を扱わない純粋な喫茶」に当てはまります。
つまり「純粋に」とは、コーヒーそのものだけを純粋に楽しむための喫茶店を「純喫茶」という呼び名で表しているということになります。

まとめ

  • 喫茶店の中でもコーヒーを楽しむためのお店を「純喫茶」と呼ぶ
  • 店主の希望により喫茶店かカフェか名乗り方は自由
  • 法律としては喫茶店営業許可か飲食店営業許可の取得が必要であり、喫茶店の場合はアルコールの提供や、簡単な加熱以外の調理全般ができない。

喫茶店とカフェの違いについてご紹介しましたが、違いを見分けるのは少し難しいのかもしれませんね。

そのお店のコンセプトやメニューの種類にも注目して楽しみたいですね。

最後に余談となりますが…
以前お茶をしたとある喫茶店なのですが、最近のカフェはほとんどスマホ決済が導入されているので、そのつもりでお会計をしようとしたところ現金のみでした。
現金を少ししか持っていなかったのでギリギリでした…

普段は、取り扱っている決済方法を調べてからお店に伺うのですが、最近は多くの店舗でスマホ決済ができるようになっているので「大丈夫だ」と思い込んでいました。

その喫茶店は「昔ながらのレジ」で昭和レトロを感じることができたので良かったのですが…
個人的に現金を持ち歩かないタイプなのでお会計はスマホ決済になればいいなと思っています。

喫茶店のお会計がデジタル化したら、私のようなスマホ決済希望の方はふらっとお店に入りやすいかもしれないですね。

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