記念日マーケティングは身近にある⁈企業が記念日登録をする理由とは?

記念日マーケティングとは

突然ですが、「記念日マーケティング」という言葉を聞いたことはありますか?

「記念日マーケティング」という言葉を聞く機会は滅多にないので、その意味はパッと思いつきにくいですよね。
しかし、実は生活の身近な部分で「記念日マーケティング」が行われているのです。

そもそも記念日マーケティングの意味は

「自社の製品・サービスの売り上げアップ」「認知度の向上」などを目的として、企業や団体が独自に記念日を制定し、それに関連したキャンペーンを実施するなどの販売戦略を指します。

自社の商品やサービスを販売するにあたって、「顧客層・価格設定・販売経路・アプローチ方法」などの計画を考えます。
そのアプローチ方法の1つとして記念日を制定します。

この言葉の意味だけでは、記念日マーケティングのどういった点が「身近」なのか想像しにくいかと思います。
そこでまずは、記念日が制定されている仕組みについて解説していきます。

記念日制定の仕組み

記念日を決めているところはどこ?

記念日はどこで決められているのでしょうか?
それは、一般社団法人「日本記念日協会」が記念日を制定しています。

日本記念日協会は、記念日についての研究、情報の収集、広報活動を行ってきました。
そして、 記念日に対する人々の理解と関心を高めるために、1991年4月1日に正式に発足・活動を開始しました。

日本記念日協会の活動開始前は、記念日について総合的に扱う機関・団体がなく、情報が誤って伝えられたり、せっかく記念日を設けても広く一般に浸透しないなどのケースが多かったそうです。

そこで日本記念日協会では、記念日文化の発展を願い、従来からある記念日、新たに誕生した記念日についても登録制度を実施し、記念日を総合的に扱う機関として今まで多くの記念日を審査・制定しています。
企業、団体、個人などで独自の記念日を登録したい場合、記念日の名称・日付・由来などがあれば申し込むことができるそうです。
また、創業、創立、誕生、発売、開校など、何かを始めた年月日を登録する周年記念登録制度も実施しています。
記念日は、登録審査会の審査を通じて毎週火曜日に決定されるそうです。

「〇〇の日」は365日毎日ある?!

日本の祝日は年間16日あります。

それに対して「父の日」「母の日」など祝日以外で「〇〇の日」とされている記念日はなんと365日毎日あるのです。

確かに、「〇〇の日」をよく耳にすることが多いと思います。
「ポッキーの日(11月11日)」「猫の日(2月22日)」などは聞きなじみのある方が多いのではないでしょうか。
その中には「キウイの日(9月1日)」「人間ドックの日(7月12日)」などあまり聞きなじみの無い珍しい記念日もあります。

こういった記念日の多くが日本記念日協会の決定を通じて制定された記念日なのです。

9月19日は敬老の日

直近の記念日は9月19日の敬老の日です。

国民の祝日に関する法律(祝日法)では「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」日と定められています。

祖父母や両親などを敬い、感謝の気持ちとともに長寿のお祝いをする日です。
これを機に感謝の気持ちを伝えるという点で祝日は良いきっかけになりそうですね。

他にもある⁈2022年9月19日の「○○の日」

9月19日は敬老の日ですが、協会認定記念日として以下の「○○の日」が制定されています。

毎年9月19日にある記念日

  • 育休を考える日
    語呂:育(19)休(9)
    総合住宅メーカーの積水ハウス株式会社が制定しました。
    記念日を通して多くの人に男性の育休について考えるきっかけにしてもらいたいという思いが込められています。

  • 九十九島の日
    語呂:く(9)じゅうく(19)
    長崎県佐世保市が制定しました。
    「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟する九十九島の魅力を国内のみならず海外に向けてその魅力を発信していくことを目的としています。

  • いいきゅうりの日
    語呂:い(1)いきゅう(9)り
    「いいきゅうりの日プロジェクト」が制定しました。
    低カロリーで美味しく、さまざまな料理に活用できるきゅうりの消費拡大を目的としています。
    4月19日はJAあいち経済連の西三河冬春きゅうり部会が「良いきゅうりの日」を登録していることから除いています。

  • クイックルの日
    語呂:ク(9)イ(1)ックル(9)
    花王株式会社が制定しました。
    いつでも誰でも手軽にお掃除ができるクイックルを使って、家族みんなで住まいをきれいにしてもらいたいという同社の想いが込められているそうです。

  • 遺品整理の日
    意味:依頼された遺品の整理をすぐ(クイック=9.19)にする
    株式会社アヴァックが制定しました。
    秋の彼岸の月である9月に祖先を供養するとともに、故人の遺品も供養して整理し、遺族に新たな一歩を踏み出すきっかけの日にして欲しいとの願いが込められているそうです。

  • グランドジェネレーションズデー
    意味:敬老の日を尊重して9月19日
    イオンリテール株式会社が制定しました。
    若々しく年齢を重ね、豊かな知識と経験を持ち、第二の人生をさまざまなライフスタイルで楽しんでいるGRAND GENERATION(G.G)世代にエールを送り、より輝きを増す日にという思いが込められています。

期間が決まっている記念日

  • 愛知のいちじくの日
    語呂:いち(1)じく(9)[愛知県産のいちじくが数多く出回る7月から10月までの4ヶ月]
    JAあいち経済連が制定しました。
    県の特産物であり日本一の出荷量を誇る愛知県産のいちじくを、もっと多くの人にアピールして、その美味しさを知ってもらおうという意味が込められています。

第3月曜日の記念日

  • 軽量の日
    川上産業株式会社が制定しました。
    ギリシャ神話に登場するかわいい妖精「ナイアド」を記念日のシンボルとしています。
    「ナイアド」は以前は第九惑星であった海王星の第三衛星の名前であるため、9月と第3月曜日を組み合わせたものだそうです。

  • 海老の日
    毎味(ことみ)水産株式会社が制定しました。
    長寿の象徴や目玉が出ていて「お目出たい」といわれる縁起の良い海老を「敬老の日」に食べて、日本を支えてこられた高齢者の方々に感謝と敬意を表し、末永い健康と長寿をお祝いする日にという思いが込められています。
    「敬老の日」には海老を食べるという新しい食文化を提案しているそうです。

毎月9の付く日の記念日

  • クレープの日
    株式会社モンテールが制定しました。
    クレープをもっと身近なおやつにしたいとの願いと、日付は数字の9がクレープを巻いている形に似ていることから制定されました。
    毎月9日、19日、29日と9の付く日を記念日とすることでより多くの人にクレープの美味しさを知ってもらうことを目的としています。

毎月19日の記念日

  • 松坂牛の日
    株式会社やまとダイニングが制定しました。
    日本を代表する和牛の松阪牛(まつさかうし)の個体識別管理システムの運用が開始された2002年8月19日にちなみ、毎月19日を記念日としています。
    松阪牛の美味しさをアピールし、業界全体を盛り上げるのことが目的です。

  • 熟カレーの日
    江崎グリコ株式会社が制定しました。
    毎月19日を記念日としているのは19で「熟(じゅく)」という語呂合わせと、カレールウは毎月20日前後によく売れることから制定されました。

  • シュークリームの日
    株式会社モンテールが制定しました。
    シュークリームをより身近なおやつにすることが目的です。
    日付は「19(ジューク)」がシュークリームの語感と似ていることから毎月19日になったそうです。

同じ9月19日ですが、超える様々な記念日が制定されていますね。

記念日を利用したマーケティング手法

マーケティングとは

記念日マーケティングの「マーケティング」とは

企業や非営利組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客のニーズを解消する商品やサービスを作り、その情報を発信し、顧客がその商品を効果的に得ることができるようにする活動」の全てを表す概念とされています。

要するに顧客のニーズを満足させるための活動とも言えます。

お客様が求めているものを調査したり、商品を特定のターゲットにもしくは多くの人に知らせ使ってもらうためにPR活動をしたりと、売上に繋がる大切な土台作りになります。

PRとは

PRとは「Public Relations」(パブリック・リレーションズ)の略です。

社会の人々に企業と商品の存在を知ってもらい、相互に良好な関係を築くことを指します。
要は売り込みではなく、商品やサービスの価値を知ってもらうための戦略的なコミュニケーションのことです。

テレビCMやYouTube・InstagramのSNSでの広告など「メディア」を介して情報を発信し、商品やサービスの認知度を高めていく方法となります。
つまり、PRはマーケティング活動の一環なのです。

事例

前章でご紹介したクイックルの日などのように、企業独自の記念日を登録できるということで、マーケティング手法として記念日を利用する企業がいくつかあるようです。

お菓子業界の森永製菓は

  • ダースの日(12月12日)
    「板チョコが粒になった」という商品コンセプトと「12コだからダースです」のキャッチフレーズで1993年の発売以来、多くの人々に愛され続けているチョコレート「ダース」の美味しさをより多くの人に知ってもらおうと、日付は商品名のように12粒入りにちなんで12が重なる日に制定しました。

  • ハイチュウの日(8月12日)
    日付は夏休みや帰省などでの需要期に、よりいっそう盛り上げようということと、8と12で「ハイチュウ」と読む語呂合わせから制定されました。

株式会社ロッテは

  • ガーナチョコレートの日(2月1日)
    自社の代表的な人気商品であるガーナチョコレートのPRが目的です。
    日付はガーナチョコレートが誕生した日(1964年2月1日)からこの日となりました。

  • 雪見だいふくの日(11月18日) 
    「雪見だいふく」をPRするために制定されました。
    日付は11月で「いい」と、パッケージのふたを開けて縦に見たときに18に見えるために18日としたそうです。

などそれぞれお菓子ブランドごとに複数の記念日をもっています。
たしかに「11月18日は雪見だいふくの日」という情報を聞いたら当日には「雪見だいふくの日だから食べたいな」という気持ちになりますね。

このように「記念日にその商品を購入して楽しむ」という人たちが多いように、記念日が認知度を高める方法の1つ(PR)として活用されているのですね。

ちなみに、江崎グリコ株式会社が制定したポッキー&プリッツの日(11月11日)は、記念日を利用したマーケティング手法が普及する1つのきっかけになったそうです。
商品の形が数字の1と似ていることから平成11年11月11日を第1回の記念日として行い、以降、毎年話題を集めるPRを行っているそうです。
ポッキー&プリッツの日にちなんで、全国のショッピングモールなどでゲームの賞品として、ポッキーやプリッツの詰め合わせやオリジナルグッズなどが貰えるなど楽しいイベントゲームやキャンペーンが実施されていました。

サントリー酒類株式会社は、角ハイボールの日(10月8日)を制定しました。
同社のウイスキー「角瓶」を使ったハイボールは「角ハイボール」と呼ばれていることから、そのおいしさを多くの人に味わってもらうことを目的としています。
日付は「角瓶」が発売された1937年10月8日にちなんで制定されました。
また、同社では8と10で「ハ(8)イ(1)ボール(0)」と読む語呂合わせなどで、8月10日を「ハイボールの日」と制定しています。
記念日にちなんで角ハイボールをより多くの方に訴求するため、「プレミアム角瓶を発売する」「オリジナルQUOカードがあたるキャンペーンを実施する」といったプロモーション活動が実施されました。
その期間でテレビCMを放映したり交通広告を展開したりなど興味関心が高まるような取り組みがされています。

これらのように現在も、登録される記念日は商品PRを目的とした企業によるものがほとんどのようです。

記念日マーケティングのメリット

これまで記念日マーケティングの意味や仕組みについて整理していきましたね。
そこで最後に、記念日マーケティングのメリットについてまとめました。

  • 消費者に情報が浸透しやすい
    正式な記念日として制定されていることによって、誤った情報が発信されることを防ぐことができます。
    そして「○○の日」という印象に残る記念日の広告によって消費者に情報が浸透しやすくなります。
  • 購買のきっかけになる
    日付けが決まっていれば「今日は〇〇の日だ」と覚えやすく、せっかくだから買ってみようという気持ちになりやすいです。
    例えば、シュークリームの日(9月19日)で考えると、シュークリームの購入頻度が高い方はそこまで多くないとも思いますが、シュークリームの日と知っていたら購買意欲がそそられますね。
    実際にそのような経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。
  • 毎年売上が見込める
    記念日は毎年訪れるため、毎年の売上が見込めます。
    記念日にちなんだキャンペーンも行うことができますね。
    5周年・10周年といった年にはビッグイベントとして新たな企画を行うこともマーケティング手法としてより効果的ですね。

「何気ない「○○の日」が商品を購入するきっかけになる」という生活の身近なところで「記念日マーケティング」が影響しているとは面白いですね。
商品PRに力を入れたい企業にとっては「記念日マーケティング」を取り入れることによって情報発信の幅を広げることも1つの方法として良いかもしれませんね。

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